債権法の民法改正案が衆院通過

債権法に関する民法改正案が衆議院を通過した。債権部分の抜本改正は、民法制定以来行われておらず、約120年ぶりとなる。

敷金・原状回復義務の明文化、 個人補償極度額の設定

去る4月14日、ここ数年話題となっている債権法に関する民法改正案が衆議院を通過した。債権部分の抜本改正は、民法制定以来行われておらず、約120年ぶりとなる。時代の変化への対応がその目的とされ、判例で定着したルールを法案に明記し、実態に伴った内容となる見込みだ。参院審議を通過し、今国会で成立すれば、2019年以降の施行となる。

不動産賃貸借に関する事項では、主な改正点が三つある。『敷金の定義及び返還時期の明文化』・『賃貸人が修繕義務を負わない場合の明文化』・『個人保証の極度額が設定義務化』だ。これまで民法上明確でなかった「敷金」の定義が明文化され、返還時期も「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」と明文化される。 また賃貸借契約終了時の原状回復義務については、これまで判例や国交省ガイドライン『賃貸住宅標準契約書』で示されてきた、賃借人が通常使用した場合の損耗と経年変化については、賃借人に原状回復義務が生じず、故意による損傷や破損は義務を負う、という内容が明文化される。どちらもこれまでの判例に沿ったもので、実務上大きな影響はないと考えられるが、改正の報道によっては、入居者がこれまで以上に敷金返却や退去時費用不払いを求める可能性がある。施行前に管理会社は、修繕範囲や、相当期間等を特約で具体的に整理・明示する必要があるだろう。

施行前に管理会社は、修繕範囲や、相当期間等を特約で具体的に整理・明示する必要があるだろう。個人保証契約については、これまで連帯保証人の責任範囲は未払い賃料や損害賠償など、賃借人と同一と考えられ、極度額が設けられていなかった。依然としてその基準や明示方法のガイドラインは示されていないが、施行後は連帯保証に関する条項や保証人の署名欄付近に「家賃10か月分」等、極度額の明示が必要になるだろう。
保証人にとっては、これまでの『極度額なし』の方がよりリスキーだが、具体額が記載されることにより、連帯保証人となることへのためらいが予想され、これまで以上に家賃債務保証会社の利用が増加する可能性が高い。